アニメ作品において背景は非常に重要な要素で、背景の絵柄のクオリティ次第で作品のビジュアルの雰囲気が大きく左右されます。
キャラクターが注目されがちですが、背景にも緻密な技術が必要で、専門のプロフェッショナルが存在しています。
ここではそんなアニメの背景美術の仕事について詳しくお教えしていきます。
背景美術とは
背景とはキャラクターなど主要な絵柄の後ろに描かれるもので、そのシーンが繰り広げられている場所や状況などが示されています。
「背景美術」はその背景を描く役職のことで、アニメーターが書き上げた原画を参考に背景を描いていきます。
背景美術はアニメ制作の現場で美術スタッフとしてのキャリアを積んでいき、「美術監督」を目指すことになります。
美術監督は背景美術を統括する立場として、上がってきた背景のチェックや修正を行います。
アニメ作品1話につきおよそ300枚ほどの背景が必要で、それを描く背景美術スタッフはもちろん、すべてチェックして修正を加えていく美術監督の業務は大変忙しくなることも多いようです。
背景美術の仕事内容
背景美術の仕事は、主に3つの段階に分けられます。
ますはじめに行うのが「美術設定」という作業です。アニメの物語や設定、キャラクターのイメージなどをもとに、舞台となる世界の詳細なイメージを決めていきます。
次に「美術ボード」というものを作成します。これは美術設定で決めたイメージに色なども加え、背景のイメージをより具体的に表現したものになります。美術ボードによって作品の世界の雰囲気を美術スタッフ全員で共有できるようにし、スタッフごとにイメージの相違が生まれないようにします。
そしていよいよ、美術ボードで共有したイメージをもとに「背景画」を制作していきます。描き上がった背景画は美術監督がチェックし、必要があれば修正を加えて完成となります。
美術設定や美術ボードの作成はキャリアを積んでいる美術監督や監督補佐の仕事であることが多く、新人の背景美術スタッフの主な仕事は背景画の制作です。
まとめ
背景美術の仕事は、アニメーターの仕事に比べると注目される機会が少ないかもしれません。
しかし近年大ヒットした映画『君の名は。』などのように、背景の美しい作品というのはその部分が注目されることもあります。
緻密な技術が必要な背景美術ですが、絵を描くことが好きな人にとっては非常にやりがいのある仕事でしょう。